
【決算深掘り】フォーシーズHD、2026年9月期第3四半期決算から紐解く事業構造改革と成長戦略
StockClub
Published: Aug 14, 2026, 10:24 AM
Sentiment Analysis

株式会社フォーシーズHD(証券コード:3726)の 2026年9月期第3四半期決算 (累計)は、売上高が 1,629百万円 (前年同期比8.5%減)、営業損失が △394百万円 (前年同期は△132百万円)となるなど、一見すると厳しい決算数値となっています。しかし、その内実を紐解くと、将来の収益基盤再構築に向けた 積極的な店舗再編や新規事業立ち上げ等の先行・戦略的投資 が主因であることが分かります。
本レポートでは、決算説明資料から読み取れる 10個の重要トピック を抽出し、同社が推進する事業構造改革の全貌と各セグメントの進捗状況を徹底的に分析・解説します。
1. 業績ハイライトと営業損益の構造分析
第3四半期累計の連結業績は、減収および営業赤字の拡大となりました。ただし、この赤字拡大の背景には 一時的費用や戦略的な先行投資 が色濃く反映されています。

上記の 「ハイライト」スライドが非常に重要な理由 は、表面的な営業損失 △394百万円 の内訳として、実に 386.9百万円 もの「一過性・戦略的要因」が含まれていることを明示している点にあります。具体的な要因分析は以下の通りです。
- リテール事業における店舗撤退・業態変更費用 : 155百万円
- 新規事業立ち上げによる戦略的赤字 : 64百万円
- 再エネ関連事業ののれん償却・業務委託費等 : 40百万円
- 株主優待引当金 : 20.2百万円
- DENBAにかかる広告宣伝費 : 23百万円
- その他一過性費用・体制再編費等 : 約 84.7百万円
これらの構造改革・先行投資費用(合計386.9百万円)を営業損失から差し引いた 調整後営業利益は△7.1百万円 となり、実質的な既存事業ベースでは ほぼ均衡(収支トントン)に近い水準 を維持していることが理解できます。
2. 主力「通販事業」の拡大とデジタルマーケティングの成果
同社の連結売上高のうち 56.3% (917百万円)を占める最重要セグメントが 通販事業 です。通販事業および卸売事業の セグメント利益合計は+122百万円 と、グループの黒字基盤を支えています。

この 通販事業詳細スライドが重要である背景 は、グループ傘下の 株式会社iiy(下着の企画・生産・販売)の著しい成長 が視覚的に確認できるからです。iiy社は2023年のグループ入り以降、右肩上がりの成長を継続しており、 2026年9月期の1Q・2Q・3Qおよび3Q累計すべての期間において、過去2期(2024年・2025年)の売上実績を上回る 良好な推移を見せています。
通販事業における主なトピックは以下の通りです。
- TikTok Shopでの爆発的ヒット : 「CHARM MAKE BODY」ブランドの「小さく見せるブラ」がTikTok Shopを活用したSNS戦略により大バズりし、 半期で6,194枚を販売 。シリーズ累計販売数は 88万枚を突破 しました。
- 動画コンテンツの拡散 : 「ブラ職人 こじみく」による情報発信が支持を集め、総再生回数 2,000万回超 、コメント数1,600件超を記録。認知獲得から購買への導線構築に成功しています。
- 新商品の投入 : 下着の専門家が開発した吸水サニタリーショーツ「雲パンツ」の展開や、大手ドラッグストアでの導入交渉など、チャネル拡大を推進しています。
3. 「卸売事業」における海外伸長とDENBA事業のシナジー
卸売事業 は売上高 431百万円 (構成比26.5%)、セグメント利益 40百万円 を計上しています。円安や原材料価格・物流費の高騰という逆風を受けつつも、国内・海外双方での販路拡大を進めています。

上記 「卸売事業TOPICS」スライド は、同社の中長期的な成長ドライバーである 海外展開と「DENBA」関連事業の加速 を示す非常に意味のある一頁です。
- シンガポールMUJIでのPOPUP展開 : シンガポール最大級の「MUJIプラザシンガプーラ店」にて1か月間の期間限定POPUPを開催。自社スキンケアブランド「Cure」の認知度向上と海外売上拡大(海外卸は前年同期比 約1.5倍 に成長)に寄与しました。
- アセアンビューティーホールディングスとの提携 : 直営・FC合わせて多数のサロン(ベル ルミエール等)を展開する同社と業務提携を締結。 3Qにおける卸売事業内のDENBA売上高は2Q比2.5倍へと急拡大 しており、店舗ネットワークと顧客基盤を活用した強力なシナジーを発揮しています。
4. 「リテール事業」の構造改革と「コンサルティング事業」の進捗
【リテール事業】:既存店の業態転換と新規店舗の単月黒字化
リテール事業(売上高207百万円、セグメント損失△82百万円)は、アロマ関連店舗から高付加価値な 「DENBAラウンジ」への業態転換 を強力に推進しています。改装に伴う休業や一時費用の発生により損失を計上したものの、構造改革の成果が出始めています。
- 新店舗の出店 : 2026年4月に「DENBAラウンジ 新浦安店」をオープン。
- 収益モデルの多角化 : 月額サブスクリプションモデルの導入や、ご自宅でじっくり試せる「1ヵ月レンタルサービス」(月額11,000円〜)、スタンプカード制による体験利用など、購入ハードルを下げる取り組みを開始。
- 店舗収支の改善 : 経堂店および浦安美園店では6月に 単月売上予算を達成 し、足元では黒字化フェーズへの移行が進んでいます。
【コンサルティング事業】:再エネ資産の最適化と大型案件の交渉
コンサルティング事業(売上高74百万円、セグメント損失△41百万円)では、太陽光発電事業に関わるコンサルティングおよび系統用蓄電池事業を展開しています。
- 資産の流動化 : 2026年4月に 合同会社DMM.comに対して太陽光発電所26区画の土地および権利を売却 することを決議。保有資産の集積最大化とポートフォリオ最適化を進めています。
- 大型案件の継続交渉 : 第3四半期中の契約締結に至らなかったものの、収益性最大化を目的とした複数案件の交渉を第4四半期以降も継続して進めています。
5. 全体総括と今後の成長ストーリー
フォーシーズHDの決算を分析すると、同社が「単なる化粧品・通販会社」から 「美・健康・環境のお悩み解決プラットフォーム」 へと脱皮を図る過渡期にあることが明瞭になります。
- 主力通販・卸売の堅調さ : iiy社のヒット商品創出や海外卸の拡大により、コアビジネスの稼ぐ力は健在です。
- 先行投資の一巡による改善期待 : リテール事業における不採算店舗の撤退費用や改装費用の発生は第3四半期で一定のめどが立ち、今後は改装後店舗の収益貢献が期待されます。
- DENBA事業の水平展開 : サロン提携やレンタル制度の開始により、高単価・高利益率なDENBA製品の販売チャネルが大きく広がっています。
一過性費用によって赤字が表面化しているものの、事業ポートフォリオの再編と収益基盤の強化を着実に推し進めている点が、本決算における最大のポイントと言えます。
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