
【決算解説】エクサウィザーズ(4259)2027年3月期 第1四半期決算:過去最高のQ1業績を達成、生成AIとSales Techの爆発的拡大が好成長を牽引
StockClub
Published: Aug 13, 2026, 10:53 AM
Sentiment Analysis

株式会社エクサウィザーズ(証券コード: 4259)の 2027年3月期 第1四半期(Q1)決算 は、主力事業であるAIプロダクト事業およびAIソリューションサービス事業の双方が大幅な成長を遂げ、 売上高・営業利益ともに第1四半期として過去最高 を更新する順調なスタートとなりました。
本レポートでは、開示された決算説明資料から重要度の高いトピックを抽出・網羅し、業績の動向やセグメント別の成長要因、戦略的な取り組み、通期見通しについて詳細に解説します。
1. 2027年3月期 第1四半期 決算サマリーと業績ハイライト
第1四半期の連結業績は、 売上高3,448百万円(前年同期比+41.0%) 、営業利益200百万円(前年同期比+39.0%) 、経常利益168百万円(前年同期比+20.9%) 、親会社株主に帰属する当期純利益87百万円(前年同期比+31.8%) となりました。また、現金創出力を示す EBITDAは329百万円(前年同期比+40.0%) に達し、収益基盤の着実な強化が示されています。

上記のエグゼクティブサマリーが示す通り、第1四半期時点での 全社売上高および営業利益が過去最高 を記録したことは、同社の事業基盤が拡大期に入っていることを端的に象徴しています。特に注目されるのは、主力の両セグメント( AIプロダクト事業 ・AIソリューションサービス事業 )が揃って高い増収率を達成した点です。また、MS&ADグループとの合弁会社(MS&AD AX)の組成や、戦略子会社(Exa Frontier Edge、エクサフォワード九州、Exa Interaction Design Lab)の相次ぐ立ち上げなど、将来の成長に向けた事業構造の拡張が精力的に進められています。
QoQ(前四半期比)トレンドの質的変化
従来のIT・AI業界においては、第4四半期(Q4)に案件の検収集中や検収ラッシュが発生し、第1四半期(Q1)に反動減となる季節性の影響を受ける傾向がありました。しかし今期は、 Q4からQ1への減収率がわずか-5.3% に止まりました(前年同期のQ4→Q1減収率は-8.5%、一前年は-20.7%)。AIプロダクト事業のストック性高まりや、AIソリューションサービス事業における長期大型契約の増加により、 Q1における売上高のベースライン(底値)が大幅に底上げ されている点が構造的な強みとして表れています。
2. 戦略的投資と費用構造の分析
収益性が拡大する一方で、同社は市場変化のスピードに対応するため 攻めと守りの戦略的投資(合計280百万円) をQ1で実施しました。費用全体の増加(Q1全社費用:3,248百万円)には以下の内訳が含まれています。
- 全社セキュリティの強化 : クラウド環境のセキュリティ監視・脆弱性管理ツールの導入。
- AI開発生産性の向上 : 全社的なAIコーディングエージェント( Claude team plan )の導入。
- LLMコスト最適化の研究開発 : 「Exa Interaction Design Lab」でのR&D投資推進。
- 人材基盤の強化 : 新卒・中途採用の積極化および業績連動型賞与制度の拡充。
- コーポレートアクション費用 : 子会社・JV(合弁会社)設立費用および プライム市場移行準備費用 。
一時的な開発委託費や広告宣伝費、各種投資費用の計上により売上総利益率は前年同期比で低下したものの、これらは中長期での利益率向上および顧客提供価値の拡大に不可欠な先行投資と整理されています。
3. セグメント別業績動向
同社の事業は「 AIプロダクト事業 」と「 AIソリューションサービス事業(AISS) 」の2つのセグメントで構成されています。それぞれの動向は以下の通りです。
① AIプロダクト事業:前年同期比50%超の爆発的成長
AIプロダクト事業の売上高は 1,585百万円(前年同期比+50.6%) 、営業利益は 518百万円(前年同期比+9.1%) となりました。広告宣伝費の投下や営業・開発人員の増強によりセグメント利益率は調整されたものの、トップラインの急伸が続いています。

プロダクト種類別の売上構成を見ると、同社の成長ドライバーがどこにあるかが非常にクリアになります。
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生成AIプロダクト群(売上高 1,053百万円 / 前年同期比 +63.0%) 主力の「 エクサベース AI 」を中心に圧倒的な成長を遂げています。パートナー企業(NTTドコモビジネス、ダイワボウ等)を通じた代理店販売網の拡大により、地方の中堅中小企業への浸透が加速。 導入社数は1,626社(前年同期比+78.9%) 、利用ユーザー数は 15万人を突破 しました。自治体・官公庁での導入も進み、 都道府県庁におけるシェアは約60% に達しています。
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営業:Sales Tech(売上高 105百万円 / 前年同期比 +274.2%) 「 エクサベース ロープレ 」「 エクサベース セールスエージェント 」が主導し、売上高が前年同期比約3.7倍へと急増しました。りそな銀行、京都中央信用金庫、旭化成セラピューティクスなど大手金融機関や製造業への導入が相次いでおり、営業現場でのAI活用ニーズを捉えています。
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人事:HR Tech(売上高 270百万円 / 前年同期比 -10.4%) 前年比では減収となったものの、前年度Q3を底に QoQでは力強い回復軌道 に乗っています。「エクサベース DXアセスメント&ラーニング」の 累計ユーザー数は43.8万人、導入社数は2,500社 を超えており、生成AI活用テストやAXハンズオン研修の受託拡大に伴い、Q2以降は過去最高の売上高を見込んでいます。
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ヘルスケア:Care/Med Tech(売上高 101百万円 / 前年同期比 +32.9%) 国内初となる「在宅型」会話音声認知症AI診断支援アプリ(SaMD)の承認申請に向けた臨床開発を開始するなど、医療・介護領域での社会実装が進展しています。
② AIソリューションサービス事業(AISS):大型案件の継続と顧客単価の上昇
AIソリューションサービス事業の売上高は 1,909百万円(前年同期比+31.1%) 、営業利益は 450百万円(前年同期比+44.6%) となり、増収増益を達成しました。顧客のAI開発需要の高まりを受け、業務委託費が増加したものの、採用強化や外部パートナー頼みからの脱却策(テクノプロ等との協業)により、利益率は改善傾向に向かっています。
AISSの業績拡大を裏付ける重要な指標として、 長期継続顧客の成長 が挙げられます。同社と4期以上連続して取引を行う継続顧客による売上シェアは全体の 65% に達しており、取引が長く続くほど顧客1社あたりの平均案件単価が上昇する構造になっています。資料によれば、 5期以上の長期継続顧客の平均案件単価は3,000万円 に達し、4期継続顧客(1,200万円)と比較して 2.4倍 に拡大しています。これは単なる受託開発にとどまらず、顧客企業のコア業務へAIを深く組み込む共創型パートナーシップが確立できていることを示しています。
4. ビジネスアップデートと提携・市場ポテンシャル
マクロ環境とAIエージェント市場の急拡大
国内市場における企業・官公庁のAIに対する投資意欲はきわめて高く、経済産業関連の予算措置(2025年度補正予算で約4,380億円)や、企業のCEOアジェンダ化(国内企業の66%がAIエージェント導入を推進・検討)が後押しとなっています。 同社は単なるソフトウェア(SaaS)の提供に留まらず、BPO/BPRやSI、システム保守・運用までをカバーする「 AI is eating Software 」の世界観を掲げており、アプローチ可能なTAM(獲得可能な最大市場規模)を大きく広げています。
アライアンスと新サービスの進捗
- Exa Frontier Edgeによる「AIネイティブSI」 : ソースコードから最新仕様書を自動復元する「 Living Spec生成サービス 」の提供を開始。関西電力グループとの共同プロジェクトにおいて、開発プロセスの短縮(3ヶ月から3週間への短縮目標等)を実証中です。
- テクノプロ・ホールディングスとの戦略提携 : 国内最大級の技術系人材ネットワークを持つテクノプロと連携し、約30,000名のエンジニアに向けたAX人材育成プログラムを開始。育成されたエンジニアをエクサウィザーズのAI開発案件にアサインする体制を構築しています。
- 資本業務提携先との共創深化 : 出光興産における外航船配船最適化システムの共同開発(年間最大数億円規模の運行コスト削減見込み)や、 MS&ADグループとの合弁会社設立 など、業界リーダー企業との持続的な合弁・共創ビジネスが結実しています。
5. 2027年3月期 通期業績予想と見通し
同社は、第1四半期の好調な結果を踏まえ、期初に公表した 通期連結業績予想を据え置いています 。

通期目標として掲げられている数値は、 売上高15,600百万円(前年比+30.0%) 、営業利益2,300百万円(前年比+44.3%) 、営業利益率14.7% です。
過去3年間の推移を見ると、2025年3月期の売上高9,811百万円(営業利益23百万円・利益率0.2%)から、2026年3月期には売上高11,996百万円(営業利益1,594百万円・利益率13.3%)へと劇的な収益性改善を果たしました。2027年3月期においても、 30%のトップライン成長 を維持しながら 営業利益率を14.7%まで一段と引き上げる 計画となっており、高成長と高収益化の両立を目指す基本方針(「戦略的投資/M&A強化」「成長へのコミット」「株主還元の強化・プライム市場への移行準備」)に沿った順調な進捗が確認できます。
総括
エクサウィザーズの2027年3月期第1四半期決算は、 生成AIおよびSales Techを中心としたプロダクト事業の加速 と、 AISS事業における顧客単価の上昇・長期契約化 が噛み合い、過去最高のQ1業績を達成する結果となりました。足元での積極的な先行投資を実行しつつも高水準の利益を確保しており、中長期的な市場シェア拡大とプライム市場移行に向けた強固な基盤を着実に構築している状況がうかがえます。
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