
ケイ・ウノ 2026年9月期第3四半期決算ディープダイブ:増収減益の背景と第4四半期以降の業績回復シナリオ
StockClub
Published: Aug 12, 2026, 09:59 AM
Sentiment Analysis

1. 決算概要と全体像
株式会社ケイ・ウノの2026年9月期第3四半期累計(2025年10月1日〜2026年6月30日)決算は、 売上高が前年同期比11.0%増の5,791百万円 となり、第3四半期累計として 過去最高売上 を更新しました。国内直営店舗におけるオーダーメイドジュエリーおよびIP(知的財産)コラボ商品の需要が力強く推移したことが主因です。
一方で、損益面においては 営業利益が45百万円(前年同期比26.7%減) 、経常利益が31百万円(同20.1%減) 、親会社株主に帰属する四半期純利益が6百万円(同65.7%減) となり、増収減益の決算となりました。利益圧迫の主因は、金やプラチナをはじめとする 貴金属地金価格の歴史的な高騰 に伴う売上原価率の上昇です。
2. 第3四半期累計(連結P/L)の業績詳細
第3四半期累計の連結経営成績の詳細は以下の通りです。

上記のスライドは、2026年9月期第3四半期累計の連結損益計算書(P/L)の概要を示しています。売上高は 5,791百万円(前年同期比+574百万円) と順調に拡大したものの、 売上総利益(粗利益)は3,001百万円(前年同期比△30百万円、同99.0%) にとどまりました。その結果、 売上総利益率は51.8%と前年同期の58.1%から6.3ポイントの大幅悪化 となっています。
販売費及び一般管理費(販管費)については、 2,956百万円(前年同期比△13百万円、同99.5%) と、売上拡大にもかかわらず徹底したコストコントロールにより前年同期を下回る水準に抑え込みました。しかし、粗利益の減少をカバーするには至らず、 営業利益は45百万円(前年同期は61百万円) となりました。また、台湾ブライダル市場の落ち込みに伴い 持分法投資損失 が増加したことなどが影響し、最終的な四半期純利益は 6百万円 となっています。
3. 営業利益圧迫の構造的要因と第4四半期以降の回復メカニズム
第3四半期における大幅な原価率上昇と利益圧迫のメカニズム、および今後の回復シナリオを理解するうえで極めて重要なデータが以下の分析です。

このスライドは、下期(第3四半期および第4四半期)における営業利益の動向とその要因を整理したものです。同社のビジネスモデルでは、 原材料(地金)の調達から顧客への納品までに一定のタイムラグ(製造期間)が存在 します。
具体的には、地金相場が最高水準を記録した 1月付近に仕入れた高額な原材料 が、製造期間を経て 第3四半期(4月〜6月)の売上原価のピーク として現れました。前年同月比で金は約1.4倍、プラチナは約1.6倍に高騰したため、第3四半期の売上原価率は前年同期比で +6.3pt上昇(48.2%) し、利益を大きく圧迫する結果となりました。
一方で、同社は原価高騰に対応するため 4月に商品の価格改定 を実施しました。しかし、受注から納品までのタイムラグがあるため、 第3四半期における価格改定効果の反映は一部 にとどまり、結果として「地金価格高騰の影響 > 価格改定の寄与」となり営業損益は苦戦を強いられました。
重要なポイントは、 第4四半期(7月〜9月)以降にこの関係が逆転する 点です。地金価格高騰の影響が一巡して売上原価が低減する一方で、 4月に実施した価格改定の効果が本格的に売上高に寄与 します。これにより「地金価格の影響 < 価格改定の寄与」という構図へ転換し、第4四半期の営業損益は 大幅な黒字回復 が見込まれています。
4. ブランド別・地域別売上動向
売上高をブランド別および地域別に分けた実績は以下の通りです。
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ブランド別売上高
- ケイウノブランド : 3,506百万円(前年同期比110.9%、構成比60.5%)
- その他(IP商品・ユートレジャー等) : 2,284百万円(前年同期比111.2%、構成比39.5%)
- 主力である「ケイウノ」のオーダーメイドジュエリーが堅調に推移したことに加え、キャラクターやコンテンツの権利を活用した「IP商品」も前年比11.2%増と力強い伸びを示しました。
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地域別売上高
- 国内 : 5,286百万円(前年同期比110.2%、構成比91.3%)
- 海外 : 505百万円(前年同期比120.8%、構成比8.7%)
- 国内店舗の集客が好調を維持したことに加え、海外市場(台湾など)も増収を確保しています。
5. 財政状態(B/S)の分析
2026年6月30日時点の連結貸借対照表(B/S)では、総資産が前期末比731百万円増加の 5,273百万円 となりました。 主な変動要因としては、地金価格高騰に伴い材料および製品の評価額が上昇したことで、 棚卸資産が2,442百万円(前期末比+645百万円) へ大幅に増加した点が挙げられます。また、ライセンス料の前払い等により その他流動資産が731百万円(同+147百万円) に増加しました。
負債側では、運転資金の確保や棚卸資産の増加に伴い 有利子負債が1,971百万円(前期末比+516百万円) となり、 自己資本比率は24.1%(前期末比△3.9pt) となりました。受注増に伴う契約負債(前受金等)の増加(+212百万円)もみられます。
6. 第3四半期の主要トピック(マーケティング&IP商品開発)
第3四半期中、同社は集客およびファン層拡大のために積極的な施策を展開しました。
- サマージュエリーフェアの開催 : 色石(カラーストーン)を使用した季節感のあるラインナップを店頭で訴求し、既存顧客のリピート来店を促進。
- スター・ウォーズ新作ジュエリー : 『スター・ウォーズ/マンダロリアン』の世界観を表現した「グローグー」や「ミソソー」の新作コレクションを4月に発売。
- 多様なIPコラボレーションの推進 : にじさんじ所属VTuberユニット「VOLTACTION」のリングやスタンド(5月)、人気ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』のモチーフネックレス(4月)などを投入し、新たな顧客層を開拓しました。
7. 2026年9月期 通期業績予想と成長ストーリー
同社は、2026年5月14日に公表した 通期業績予想を変更せず据え置いて います。

上記のスライドは、2026年9月期(通期)の連結業績予想を示しています。 通期計画では、 売上高7,911百万円(前期比112.9%) 、営業利益125百万円(前期比122.0%) 、経常利益117百万円(前期比155.0%) 、親会社株主に帰属する当期純利益78百万円(前期比342.3%) と、 大幅な増収増益 を見込んでいます。
第3四半期累計時点での営業利益は45百万円にとどまっていますが、前述の通り 第4四半期(7月〜9月)に価格改定効果が本格化 すること、および 地金価格の影響が一巡 することから、第4四半期単体で残りの営業利益を積み上げる計算となっています。通期での売上総利益率は 52.9%(前期比△5.0pt) へ低下するものの、 売上高の拡大(前期比+907百万円) と販管費の効率的運用 によって吸収し、各段階利益で大幅な増益を達成するストーリーを描いています。
8. 株主還元とビジネスモデルの強み
- 株主優待制度 : 毎年9月末時点で 100株以上を保有する株主 を対象に、 QUOカード5,000円分 および 自社商品10%割引券1枚 を年1回(12月上旬)贈呈する充実した優待制度を実施しています。
- 独自のビジネスモデル(製販一体型) : 専属デザイナー約50名、職人約150名、店舗販売員約200名を擁し、自社で企画・デザインから製造・販売までを一貫して手掛ける体制を構築しています。これにより、顧客の約8割がオーダーメイドを選択する高い付加価値を提供するとともに、ユートレジャー等のIPジュエリー事業(売上の約4割)との双方で収益基盤を確立しています。
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