
【深掘り決算レポート】スマサポ(9342)2026年9月期第3四半期:totono 2.0移行とBPaaS化の進捗、中長期成長に向けた戦略投資の全貌
StockClub
Published: Aug 07, 2026, 12:36 PM
Sentiment Analysis

株式会社スマサポ(証券コード: 9342)の2026年9月期 第3四半期決算資料に基づき、同社の業績ハイライト、主要KPIの進捗状況、構造改革の背景、および将来に向けた成長戦略を多角的かつ包括的に解説します。
1. 2026年9月期 第3四半期 業績サマリーと通期進捗
当第3四半期累計(2025年10月1日〜2026年6月30日)におけるスマサポの業績は、 売上高 2,145百万円(前年同期比 2.2%減) 、営業利益 124百万円(前年同期比 36.2%減) となりました。
通期業績予想に対する進捗率は、 売上高で 68.1% 、営業利益で 54.3% にとどまっていますが、会社側は 通期業績予想(売上高 3,150百万円、営業利益 230百万円)を据え置いています 。第4四半期においては、繁忙期後のストック収益の積み上がりやユーザー基盤の拡大、先行投資費用の一巡が見込まれており、計画達成を目指すシナリオとなっています。
一見すると減収減益の決算となりましたが、この背景には将来の持続的成長に向けた 戦略的な事業モデル転換 と高付加価値化への先行投資 が存在します。
2. 業績推移と損益構造の変化
同社のこれまでの四半期業績推移と構造変化を理解するうえで、以下の全体推移データが極めて重要となります。

【上記スライドの重要性とデータの背景・解説】
このスライドは、2022年9月期から2026年9月期にかけての売上高および営業利益の四半期ごとの積み上げ推移と通期計画を可視化したものです。
売上高の動きを見ると、前年同期比でわずかに減少(-47百万円)していますが、これは同社が現在進めている 「不採算取引の整理・適正化」 および主力サービスである 入居者アプリ「totono」の旧バージョン(1.0)から新バージョン(2.0)への移行 に伴う一時的な影響です。量的な拡大から質的(収益性)な向上へと梶を切った結果であり、計画通りの意図的な推移と言えます。
一方、営業利益(前年同期比 -70百万円)については、 M&Aに伴う一括費用の発生 や、 AI分野を中心とした研究開発・戦略的先行投資の前倒し実施 が直接的な押し下げ要因となっています。2023年9月期に大幅な先行投資を行って一旦ボトムを付けた後、2024年9月期以降は黒字基調を維持しており、足元の減益は中長期的な企業価値向上に向けた「成長のための攻めの投資」によるものであることが読み取れます。
3. 主要事業・KPIの動向①:スマサポサンキューコール
スマサポの収益基盤を支えるアウトバウンド型コールセンター事業「スマサポサンキューコール」では、収益重視の戦略転換が進んでいます。
- コンタクト数(3Q累計) : 220,354件(前年同期比 3.2%減)
- 単価(3Q累計) : 7,045円(前年同期比 同水準 0.0%)
- 売上高換算 : 1,552,285千円(前年同期比 51,384千円減)
取引条件の見直しと高採算化へのシフト
コンタクト数が前年同期比で減小した主因は、低採算な取引の整理や取引条件の見直しを行ったことにあります。従来のように単純な架電件数(量)を追うのではなく、1コンタクトあたりに複数のライフライン商材(電力・ガス・インターネット・ウォーターサーバー・引越等)を提案するクロスセル施策を徹底しています。 また、後述する「totono」アプリ経由の案内導線が拡大したことで、質の高いコンタクトが維持され、 単価は 7,045円という高水準を維持 しています。リソースを高採算取引へ集中させることで、コールセンター全体のオペレーション効率と利益率の向上が図られています。
4. 主要事業・KPIの動向②:「totono」Phase 2.0への劇的シフト
同社の成長エンジンの中心である入居者アプリ「totono」は、従来の不動産管理会社向けSaaS型モデル(Phase 1.0)から、入居者課金・BPaaS型モデル(Phase 2.0)へと大きくシフトしています。
以下のスライドは、成長を牽引するPhase 2.0のKPI推移を示しています。

【上記スライドの重要性とデータの背景・解説】
このスライドは、「totono」Phase 2.0における ユーザー数 と1ユーザーあたりの単価(ARPU) の四半期推移(QoQ)を示した極めて重要なデータです。
- totono 2.0 ユーザー数 : 111,289ユーザー(QoQ +18.5%)
- ARPU(ユーザー単価) : 125円(QoQ +3.1%)
Phase 1.0では導入企業数(3Q実績: 77社)に応じた月額固定サブスクモデル(MRR: 37,315千円)でしたが、Phase 2.0ではアプリを利用する「実際の入居者数(ダウンロード・アクティブ数)」に連動して収益が拡大するモデルを採用しています。グラフが示す通り、 ユーザー数は加速度的な右肩上がり を描いており、ARPUも125円へと順調に上昇しています。2026年9月期4Qには200,000ユーザー突破を計画しており、同社のストック型収益基盤が爆発的に拡大するフェーズに入ったことを裏付けています。
5. 経営戦略の核心:SaaSから「BPaaS」モデルへの進歩
スマサポが目指すビジョンの根幹には、従来のソフトウェア提供(SaaS)を超えた 「BPaaS(Business Process as a Service)」 への昇華があります。

【上記スライドの重要性とデータの背景・解説】
本スライドは、スマサポが不動産管理業界においてどのような立ち位置を築こうとしているのか、その事業コンセプトの神髄を表現しています。
不動産管理業界は、 慢性的な人手不足 、カスタマーハラスメント(過度なクレーム対応) 、アナログな業務環境(電話や郵送による非効率) といった深刻な構造的課題を抱えています。単にSaaSツール(システム)を導入させるだけでは、管理会社の現場の人手不足は解消されません。
そこでスマサポは、 システム(SaaS)とオペレーション業務受託(BPO)を融合した「BPaaS」 を提供しています。アプリ「totono」を起点として、入居者からのチャット問い合わせや一時対応業務そのものをスマサポのカスタマーセンターが丸ごと一括受託します。これにより、 不動産管理会社の手間を約95%削減 し、コア業務へ集中できる環境を作り出しています。
6. テクノロジー活用と外部アライアンスの積極推進
BPaaSモデルの収益性を最大化するため、スマサポはテクノロジー投資と他社連携を急速に推し進めています。
- 入居者対応特化型AIエージェント「totonoAI」の導入 問い合わせデータを蓄積・解析し、AIによる自動返信やFAQの自動生成を強化。チャット1件あたりの処理原価を劇的に低減させ、粗利益率の飛躍的向上を狙います。
- SGムービング株式会社とのサービス連携 SGホールディングスグループのSGムービングと提携し、アプリ「totono」内で設置・輸送サービス等の導線を構築。ユーザーの利便性向上と新たなマネタイズ機会を創出します。
- アットホーム株式会社とのシステム連携 アットホームが提供する「スマート申込」との連携を開始。「スマサポサンキューコール」の案内プロセスをデジタルで完結させ、コンタクト効率をさらに高めます。
7. 今後の成長戦略とまとめ
スマサポの成長戦略は、 「totono」ユーザー数の飛躍的増加によるストック基盤の確立 、ビッグデータ解析とAI開発による自動化・高粗利化 、そして 他社アライアンスによる提供価値の最大化 の3本柱で構成されています。
当第3四半期決算は、一時的な構造改革費用やAI先行投資により利益面で前年を下回ったものの、事業の質的転換(SaaSからBPaaSへ、量から質へ)は極めて順調に進展していることが確認できます。主力KPIである「totono 2.0」のユーザー数が急成長を維持していることから、先行投資費用が一巡した後の収益拡大フェーズに向けた着実な布石が打たれていると総括できます。
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