
【決算まとめ】株式会社スペース(9622)2026年12月期第2四半期:採算性重視の戦略が奏功し増益を確保、特命比率75%超が裏付ける強固な事業基盤
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Published: Aug 06, 2026, 11:15 AM
Sentiment Analysis

株式会社スペース 2026年12月期 第2四半期決算 ディープダイブレポート
エグゼクティブ・サマリー
商空間プロデュース大手である 株式会社スペース (証券コード: 9622)の2026年12月期第2四半期累計業績は、売上高が 前年同期比2.8%減の329億23百万円 となったものの、案件ごとの提案精度向上やプロジェクト推進力強化による採算性の改善、ならびに販管費の抑制により、営業利益は 前年同期比1.9%増の27億22百万円 、中間純利益は 前年同期比4.4%増の18億66百万円 となり、 減収増益 を達成しました。
期初に掲げた上期計画との比較では、売上高こそ未達となったものの、各段階利益は 計画を上回る進捗 を見せており、収益構造の質の高まりが実証される決算内容となっています。
1. 2026年12月期 第2四半期累計業績の全体像
まず、今期の業績ハイライト数値を多角的に分析します。

上記の 業績ハイライト スライドが示す通り、売上高は前年同期を下回ったものの、 営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する中間純利益のすべてにおいて前年同期を上回る増益 を記録しました。
主要な業績数値は以下の通りです。
- 売上高 : 329億23百万円(前年同期比 △2.8% / △9億46百万円)
- 営業利益 : 27億22百万円(前年同期比 +1.9% / +50百万円)
- 経常利益 : 27億52百万円(前年同期比 +2.4% / +65百万円)
- 親会社株主に帰属する中間純利益 : 18億66百万円(前年同期比 +4.4% / +79百万円)
売上高の減少は、複合商業施設および総合スーパー分野における大型案件の端境期や過渡期が影響しました。しかし、徹底した原価管理や施工効率化、外注費・労務費の最適化を行ったことで、 売上総利益率は12.7%という高水準 を維持しています。さらに販管費の抑制も加わり、営業利益率は前年同期の7.9%から 8.3%へと0.4ポイント上昇 しました。
2. 営業利益の増減要因とコスト構造の分析
営業利益が前年同期比でプラス(+50百万円)となった背景には、明確なコストコントロールと効率化が存在します。
- 売上高減少に伴う利益減(△9億46百万円) : 売上高の減収に伴い、一時的な粗利益の押し下げ要因となりました。
- 原価改善(+8億27百万円の押し上げ効果) :
- 外注費の減少(+3億88百万円) : 売上高減少に伴い外注費は前年同期比1.6%減の237億24百万円となり、適切なコスト管理が寄与しました。
- 労務費の減少(+5億14百万円) : 開発部門費用の原価計上への移管等により、製造原価内の労務費が適正化されました。
- 販管費の減少(+1億70百万円の押し上げ効果) : 業務効率化に伴うシステム関連費用の計上で経費は増加(+68百万円)したものの、労務費の区分見直し等により販管費全体は前年同期比10.4%減の14億60百万円に縮小。 販管費率は4.4% にまで低下しました。
このように、同社は単なる規模の拡大のみを追求するのではなく、 案件ごとの採算性向上とローコストオペレーションの徹底 を通じて、強固な利益創出力を示しています。
3. 市場分野別の売上動向とポートフォリオ効果
スペースの強みは、商業施設、専門店、サービス施設など多角的な市場分野に分散されたポートフォリオ構造にあります。

上記スライドの 市場分野別売上高推移 は、分野ごとの波を相互に補完し合う同社の事業構造を明確に示しています。今期における主要5分野の動向は以下の通りです。
- 各種専門店(売上高: 107億69百万円 / 前年同期比 +8.5% / 構成比 32.7%) : 服飾雑貨店舗における大型旗艦店やハイブランド案件、さらにドラッグストアの新装・改装案件が増加し、全体の業績を強力に牽引しました。
- サービス等(売上高: 88億17百万円 / 前年同期比 +3.5% / 構成比 26.8%) : 医療・福祉施設の大型案件に加え、インバウンド需要の高まりを背景としたホテル改装案件が堅調に推移しました。
- 複合商業施設・総合スーパー(売上高: 58億05百万円 / 前年同期比 △20.9% / 構成比 17.6%) : 前年同期に大型案件が集中していた反動で減収となりましたが、次期以降に向けた案件の仕込みは順調に進んでいます。
- 飲食店(売上高: 39億41百万円 / 前年同期比 △10.1% / 構成比 12.0%) : チェーン店舗の出店ペース調整などの影響を受け、やや前年を下回りました。
- 食品スーパー・コンビニエンスストア(売上高: 35億88百万円 / 前年同期比 △3.3% / 構成比 10.9%) : 生活インフラとしての安定需要に支えられ、概ね堅調な推移を維持しています。
複合商業施設の減収を「各種専門店」や「サービス等」分野の伸びで補うなど、 分野分散型のポートフォリオ が十分に機能しています。
4. 受注環境の質的分析:特命比率と顧客基盤の強さ
今後の事業成長および業績の透明性を測る上で、受注の「量」だけでなく「質」の評価が不可欠です。

上記スライドの 「受注案件の状況」 は、スペースが他社と一線を画す最大の競合優位性を示しています。
高い顧客保持力と収益性を支える構造
- 特命比率 75%超 : コンペティション(競合入札)を経ず、顧客から直接指名を受けて受注する「特命案件」が75%以上を占めています。価格競争を回避し、適正な利益率を確保できる構造が確立されています。
- 継続顧客売上高比率 80%超 : リピート顧客からの信頼が極めて厚く、クライアントの店舗展開やリニューアル需要を長期的かつ継続的に獲得しています。
大型案件の増加と一括受注化
1億円以上・2億円以上の 大型案件受注件数が年々拡大 しています。2027年以降を見据えた商業施設、オフィス、公共・交通施設等の新設や大規模リニューアルにおいて、企画コンサルティングから設計・施工・内装監理までを一貫して請け負う トータル受注 が加速しており、将来の受注残高積み上げに向けた基盤が整いつつあります。
なお、第2四半期時点の四半期受注高は174億34百万円(前年同期比△8.3%)、受注残高は123億88百万円(同△5.5%)となりましたが、これは前年同期の海外子会社における大型受注の反動によるものであり、国内の受注環境自体は引き続き堅調です。
5. 中長期の成長に向けた戦略的取り組み
スペースは持続的な成長を実現するため、「企画提案力」と「現場実装力」の強化を中心とした戦略を進めています。
- 川上からの空間プロデュース(企画提案力の向上) : まちづくりや大規模複合開発の初期計画段階から参画(企画・コンサルティング)することで、単なる施工会社にとどまらない付加価値を提供し、大規模・高単価案件の獲得につなげています。
- 現場実装力の強化 : 高度かつ複雑な空間デザインを実現するため、パートナー企業(全国263社)との連携を強化し、施工管理体制と品質管理基盤を拡充しています。
- 人財投資の拡大(3か年で純増200名方針) : 中期経営計画「拡大成長」に向け、新卒・キャリア採用を積極化。2026年7月1日時点の従業員数は990名に達しており、事業拡大を支える人財基盤の強化が進んでいます。
6. 上期計画との比較および2026年度通期業績予想
上期計画に対する達成度
2026年度上期の実績は、売上高が期初計画の356億円に対し329億23百万円(計画比△7.5%)と下回ったものの、 営業利益は計画25億円に対し27億22百万円(計画比+8.9%) 、中間純利益は計画16億円に対し18億66百万円(計画比+16.7%)となり、 利益面では計画を上回る進捗 を見せました。
通期業績予想
通期の業績予想については、期初計画がそのまま据え置かれています。
- 売上高 : 720億円(前期比 +0.7%)
- 営業利益 : 50億40百万円(前期比 +4.3%)
- 経常利益 : 50億40百万円(前期比 +3.3%)
- 当期純利益 : 33億円(前期比 △12.5%)
当期純利益の減益予想は、前期に適用された賃上げ促進税制による法人税軽減効果の反動によるものであり、本業の営業利益ベースでは順調な拡大が見込まれています。
7. 株主還元方針(配当予想)
スペースは株主還元についても積極的な方針を掲げています。
- 年間配当予想 : 1株当たり72円 (中間36円、期末36円)
- 下限配当の設定 : 当期配当額は 72円を下限 とし、安定的な還元を実施する方針です。
- 予想配当性向 : 53.5%
高水準の配当性向を維持するとともに、自己株式取得をはじめとする資本効率の向上施策も継続的に検討されています。
まとめ
株式会社スペースの2026年12月期第2四半期決算は、売上高が微減となったものの、 採算性の向上とコストコントロールによって各段階利益の増益 を達成した質の高い内容となりました。
「各種専門店」や「サービス等」分野の堅調な推移、 特命比率75%超・継続顧客比率80%超 という極めて高い顧客基盤、そして人財増強を通じたトータル受注体制の強化により、同社は中長期的な成長に向けた基盤を着実に固めています。
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