
マネックスグループ 2027年3月期 第1四半期決算ディープダイブレポート:本業の収益基盤拡大とグローバル・アライアンス戦略の進展
StockClub
Published: Aug 06, 2026, 11:08 AM
Sentiment Analysis

マネックスグループ 2027年3月期 第1四半期決算ディープダイブレポート
マネックスグループ(証券コード: 8698)の 2027年3月期 第1四半期(2026年4月〜6月)決算 は、一見すると前四半期比で減益に見えるものの、一 transient(一時的)な評価益の剥落要因を除けば、主力の 証券事業 やアセットマネジメント事業(AUM拡大) を中心とする本業の稼ぐ力が着実に底上げされていることを示す内容となりました。
本レポートでは、開示資料から読み取れる10の主要トピックを軸に、同社の業績ハイライト、利益変動の背景、セグメント別の詳細動向、そして中長期の成長戦略と資本政策について詳しく解説します。
1. 決算全体像と主要業績ハイライト
当第1四半期の連結業績は、 金融費用及び売上原価控除後営業収益 が167億円(前年同期比+5%) 、親会社の所有者に帰属する当期利益 が19億円(前年同期比+4%) となり、前年同期比で 増収増益 を達成しました。
前四半期(2026年3月期 第4四半期)との比較では減益となっていますが、これは前期に計上されたWestfield社のアーンアウト負債公正価値評価益(約25億円)の剥落による影響が大きく、キャッシュフローの実質的な創出力機能を示す 調整後EBITDA は37億円(前四半期比+15%、前年同期比+6%) と力強い伸びを示しています。

重要な指標とスライド解説(スライド6)
上記のスライドは、当四半期のグループ全体の成果を一覧で示す重要な経営サマリーです。
- 主要財務指標の堅調さ : 営業収益 167億円 (YoY+5%)、調整後EBITDA 37億円 (QoQ+15%)と、収益基盤が安定していることが確認できます。
- 顧客基盤・預り資産の拡大(KPIハイライト) :
- マネックス証券 : 2026年7月に 300万口座を突破 (6月末時点で299万口座、QoQ+2%)、預り資産は 12.1兆円(QoQ+12%) へ拡大。
- コインチェック : 口座数 262万口座(QoQ+2%) に達し、6月の月間口座開設数は 過去最高(7.8万口座) を記録。
- アセットマネジメント事業 : 運用資産残高(AUM)が 2.4兆円(QoQ+15%) へ成長。
- 主要グループ会社預かり資産 : 総額 14.1兆円(QoQ+11%、YoY+25%) と大きく拡大。
これらのデータは、金融市況の変動を受けつつも、顧客基盤とアセット集積が力強く進んでいることを実証しています。
2. 連結利益構造と前四半期比の増減要因分析
連結税引前利益が前四半期の 30億9,500万円 から当四半期の 22億8,000万円 へと推移した詳細な要因分析は、同社の本質的な業績モメンタムを理解するうえで極めて重要です。

利益変動の背景分析(スライド8)
スライド8のウォーターフォール図(滝グラフ)は、利益の押し下げ要因と押し上げ要因を極めて分かりやすくビジュアル化したものです。
- 一 transient要因・特殊要因による押し下げ :
- Westfield社のアーンアウト負債評価益剥落(△25億2,700万円) : 前四半期に計上された会計上の評価益が当四半期には発生しなかったことが、前四半期比での減益の最大要因です。
- マネックス・アクティビスト・ファンド(MAF)の成功報酬減少(△11億7,200万円) : 前四半期に膨らんだ成功報酬が期を跨いで減少したため、アセマネ事業の営業利益を押し下げました。
- 本業による強力な押し上げ :
- 証券事業の税引前利益増加(+12億6,000万円) : 株式取引の増減をカバーし、後述する 信用収支やFX・債券関連収益の伸長 、および費用コントロールによって利益を大幅に伸ばしました。
- 持分法投資利益・単体保有証券評価益の増加 : Westfield社の持分法投資利益増(+1億7,800万円)やマネックスグループ単体保有の有価証券評価益増加(+13億5,600万円)が寄与しました。
一過性の会計的要素を除いた本業のセグメント利益(特に証券事業)は、前四半期比で非常に強いモメンタムを維持していることが読み取れます。
3. 事業セグメント別の動向と分析
(1) 国内オンライン証券事業(マネックス証券)
マネックス証券は、 NTTドコモとの資本業務提携 および イオン銀行との連携 によるリテール・アライアンス戦略が成果を結び始めています。ドコモマネックスホールディングス傘下での効率的な新増口座獲得が進み、2026年7月には 300万口座突破 を達成しました。

収益構造の詳細(スライド17)
スライド17は、日本基準(JGAAPベース)におけるマネックス証券の純営業収益の推移と内訳を示しています。
- 純営業収益 : 当四半期は 129億6,400万円 となり、前四半期比 +10.1% 、前年同期比では +35% という極めて高い成長を記録しました。
- 金融収支の拡大(42億1,200万円) : 顧客の信用残高が増加したことで、信用収支が +5億3,100万円 増加。さらに貸株収支や顧客分別金運用益も底堅く推移し、全体の収益を力強く牽引しています。
- FX・債券関連収益(23億2,000万円) および 投資信託関連収益(23億3,000万円) : 投信残高が前年同期の2.63兆円から 3.77兆円 へと急拡大したことで、信託報酬等のストック型収益が着実に積み上がっています。
- 費用のコントロール : 営業収益の顕著な増加に対し、販管費の増加は前四半期比 +0.4%(96億7,300万円) と限定的に抑えられており、 計画的な広告宣伝費の投下とコスト構造の最適化 が実現されています。
(2) 米国証券事業(TradeStation)
米国市場におけるアクティブトレーダー層を対象とするTradeStationは、アクティブトレーダー数が 1.8万人(QoQ+2%) へ増加しました。米国金利低下に伴う金利収益の減少や、株式・先物市場の出来高鈍化による委託手数料の低下(QoQ-4.3%)が見られたものの、オプション取引高の堅調さや顧客預り金の安定推移により、金融収支は堅調を維持しています。
(3) デジタルアセット事業(コインチェックグループ)
コインチェックを中心とするデジタルアセット事業は、暗号資産業界の市況変化(暗号資産価格の下落や販売所売買代金の減少)を受け、当四半期の営業収益は 29億100万円(QoQ-13.7%) 、営業利益は △13億7,300万円 の赤字となりました。 しかしながら、中長期の成長に向けたアライアンスは急速に進展しています。
- KDDI (14.9%の出資と業務提携)
- メルコイン 、クレディセゾン との業務提携
- Coincheck CaaS(Crypto as a Service) を活用したパートナー企業とのエコシステム創出
これらの取り組みにより、6月には月間口座開設数が過去最高を記録するなど、Web3・オンチェーン金融領域における優位性を一段と強めています。
(4) アセットマネジメント・ウェルスマネジメント事業
運用資産残高(AUM)は 2兆3,920億円(前年同期比+51%) と飛躍的に成長しています。これはカナダの暗号資産運用会社 3iQ のグループ入りや、米国の成長株運用会社 Westfield Capital Management の持分取得など、インオーガニックな成長戦略が奏功しているためです。
当四半期はアクティビストファンドの成功報酬減少によりセグメント営業収益は 14億6,400万円 に留まりましたが、AUMに対する調整後ネット収益率は 58bps と相応の水準を維持しており、世界的な機関投資家・リテール双方へのアプローチを強化しています。
4. 中長期成長戦略と資本政策
マネックスグループは、従来の「Online Finance(オンライン金融)」から「On-chain Finance(オンチェーン金融)」への進化と、顧客対象を「個人投資家」から「グローバルな機関投資家」へと拡張する戦略を進めています。
資本政策と株主還元方針
資料内で再確認されている資本政策の要点は以下の3点です:
- ROE目標 15% の追求
- 成長投資の促進と持続的な利益成長 の両立
- 規律ある株主還元方針の維持 (2025年3月期・2026年3月期の直近2会計年度における株主資本総還元率は 18.3% )
大手通信キャリア(NTTドコモ、KDDI)との強固なリテールアライアンス基盤をテコにしつつ、グローバルなアセットマネジメント基盤を活用することで、事業ポートフォリオ全体のシナジーを発揮し、 コングロマリット・プレミアムの可視化 に向けた経営が継続されています。
5. まとめ
マネックスグループの2027年3月期 第1四半期決算は、一時的な会計的要因を除けば、 マネックス証券の顧客基盤・金融収支の拡大 、アセットマネジメント事業におけるAUMの順調な拡大(2.4兆円) 、そして コインチェックの顧客基盤拡大と強力な企業アライアンス という、中長期の成長ストーリーが着実に具現化していることを示す内容であったと整理できます。
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